相続税申告は、財産を相続したすべての人がしなければならないというわけではありません。
相続税には基礎控除というものが存在します。相続した財産がこの基礎控除の範囲内であれば相続税申告の必要はありません。
ただし、相続税がかからなくても、配偶者の税額軽減や、小規模宅地等の特例の適用を受ける場合等は、相続税申告が必要なケースがあるため注意が必要です。
そこで、相続財産の税金を節税できる葬儀費用が何であるかについてわかるように、ご参考になさつてください。
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■ 相続した財産とはどんなものが含まれる?
相続や遺贈によって取得した財産(現金や預金、不動産、有価証券等)の金額から亡くなった方の負債(借入金や葬儀費用等)を差し引いた金額になります。
■ 相続税の基礎控除額
平成27年1月1日以降に相続が発生した場合 → 3,000万円+600万円×法定相続人の数
■ 小規模宅地等の特例を活用して、節税につなげましょう。
自宅用宅地編
「小規模宅地等の特例」という相続税上の特例があります。この中の1つに相続した土地の面積に関する改正があり、今までは限度面積が240uだったものが330uに拡大されました。これにより、亡くなった人(被相続人)が保有していた自宅や事業所や貸家などの土地の評価額を80%減額することがかのうになりました。
この特例を利用することにより、大きな節税効果あるいは相続税がまったくかからなくなることもあります。ただし、一定の要件があります。
特例の対象となる宅地には事業用、住宅用、などいろいろな区分がありますが、例えば自宅として居住してた宅地には以下のような適用要件があります。
誰がその土地を相続したかを調べます。
@被相続人の配偶者が相続した場合、無条件に適用されます。
A被相続人の同居の親族(配偶者以外)が相続した場合、相続申告期間にその土地を所有し、そこに居住していれば適用されます。申告前に売却してしまうと適用されなくなりますので、注意が必要です。
B上記@A以外の親族が相続した場合、被相続人が亡くなる直前から3年以内に自分が所有する自宅に居住したことがない相続人の場合は適用されます。例えば、相続人が賃貸住宅や社宅などに居住していた場合があたります。すでに自分の自宅を所有している場合は適用されません。
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■ 平成27年から、相続税の基礎控除が引き下げられました。
基礎控除改正点
平成26年まで
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
平成27年から
3,000万円+600万円×法定相続人の数
そこで朗報です。
平成27年に改正された「小規模宅地等の特例」を活用して、節税につなげましょう!
小規模宅地等の特例とは、亡くなった人(被相続人)が保有していた自宅や事業所や貸家などの土地の評価額をある一定の面積までは80%減額できるというものです。
ここで改正の大きなポイントを3つご説明します。
【改正点1】相続した土地の面積
今までは適用限度面積が240uでしたが、平成27年より330uに拡大されました。これにより減額される割合は80%と大幅に減額できることになります。
この特例を利用することにより、大きな節税効果あるいは相続税がまったくかからなくなることもあります。
<例えば>1億円の1u30万円の土地を300u相続した場合、
土地の評価額=9,000万円(30万円×300u)
特例による減額分=7,200万円(土地の評価額9,000万円×80%)
相続価額=1,800万円(土地の評価額9,000万円?特例による減額分7,200万円)
ただし、上記の特例が適用されるには、一定の条件を満たす必要があります。
■ 誰が相続するか
@ 被相続人の配偶者が相続した場合
無条件に適用されます。
A 被相続人の同居の親族(配偶者以外)が相続した場合
相続申告期間にその土地を所有し、そこに居住していれば適用されます。
申告前に売却してしまうと適用されなくなりますので、注意が必要です。
B 上記@A以外の親族が相続した場合
被相続人が亡くなる直前から3年以内に自分かその配偶者が所有する自宅に居住したことがない相続人の場合は適用されます。例えば、相続人が賃貸住宅や社宅などに居住していた場合があたります。
すでに自分の自宅を所有している場合は適用されません。
そこで注意です。
遺言状を作るときには誰に相続させるかが、相続税の節税のポイントになります!
【改正点2】二世帯住宅の構造に関する改正
建物内部での行き来ができる構造 → 構造にかかわらずOKです。
今までは親世帯と子世帯が建物内部でつながっていることが必要でしたが、この改正により、外階段など建物外部でしか行き来ができない構造であっても、適用が認められることになりました。
ただし、以下の場合には適用されませんのでご注意ください。
@ その二世帯住宅を親子で別々に登記(区分所有建物登記)している場合
A 二世帯住宅にはなっているものの、子供世帯の家族全員が転勤などでそこに居住していない場合
そこで注意です。
二世帯住宅は親子共有名義にしておく、そして子世帯が転勤する場合は単身赴任で、が相続税の節税のポイントになります!
【改正点3】老人ホームも終の住処に
終身利用権付き老人ホームも適用内になります。今までは老人ホームなどに入居していた場合、その住居については相続の適用外でしたが、一定の条件のもとに自宅の土地として適用されるようになりました。
ただし、老人ホームなどに入居した後に、自宅を他人に貸与していると適用外となります。
【重要ポイント】
親の土地は相続発生から申告期限までの10ヶ月間は絶対に売らない。貸さない。
これらは自宅の土地についての特例の内容を簡単にポイントを押さえてご説明したものになります。事業用、貸付用の土地については、適用方法も異なりますし、条件ももっと複雑になってきます。
また、複数所有の場合もどの土地を適用土地とするかの判断が難しいこともありますので、素人判断は禁物です!!
効果的な節税をするには相続税に強い税理士へご相談することをお勧めします。
(1) 医師の死亡診断書です。 |
(2) ご遺体の搬送費用です。 |
(3) 通夜、告別式にかかった費用です。 |
(4) 葬儀場までの交通費です。 |
(5) 葬儀に関する飲食代(通夜、告別式)です。 |
(6) 火葬料、埋葬料です。 |
(7) 運転手さんへのお車代です。 |
(8) お手伝いさんへの心付けです。 |
(9) お布施、読経料、戒名料です。 |
(10) 納骨費用です。 |
(11) その他通常葬式に伴う費用です。 |
医師の死亡診断書は、相続税申告の添付書類として使用することはありませんが、
納骨のために取得した医師の診断書、死亡届出書は控除の対象となります。
葬儀に関する飲食代は、通夜、告別式に集まった人の食事代、
弔問者のおつまみ代、お茶、ジュース代等の接待諸費用を含むことができます。
コンビニや売店など飲食店以外でお支払いになった費用も含むことが可能です。
お手伝いさんへの心付け(香典等の受付に対する人件費他、受付全般に要する費用)も、控除対象になります。
埋葬料は、埋葬許可書の発行に要する費用も含んで控除できます。
■ 領収書がなくても控除できます。
相続財産から差し引くことのできる葬儀費用は何かわかったけど、
すでに領収書を無くしてしまったということもあります。
上記、葬儀費用の11項目の費用は領収書やレシートがないと控除することができないと
考えてしまうところですが、支払先の領収書、レシートがない場合
でも、葬儀費用支払いメモ一覧を作成し記入て、これをもちいて控除することが可能です。
特にお布施や心付けは一般的に領収書がでません。
費用負担した日付け、対象者、名目を記録してをくとよいです。
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■ 相続税から控除できない葬儀費用とは。
葬儀費用の対象とならないのは下記8項目です。
(1) 香典返しです。 |
(2) 位牌、仏壇の購入費用です。 |
(3) 生花、お供えです。 ◆喪主・施主負担分は控除対象になります。 |
(4) 墓地、墓石の購入費用・墓地の借入料です。 |
(5) 墓石の彫刻料です。 |
(6) 法事(初七日、四十九日)に関する費用です。 |
(7) 裁判上または医学上の特別の処置に要した費用です。 |
(8) その他通常葬式に伴わない費用です。 |
上記のようなものは相続税法基本通達第13条5項では葬式費用でないものとしています。
墓石の彫刻料は注意が必要です。納骨時に石材屋からもらう領収書に、
控除対象となる「納骨費用」と控除対象にならない「墓石の彫刻料」
が一緒になっていることがありますので、石材屋に費用の内訳を確認しましょう。
また、医学上または裁判上の特別の処置に要した費用の例えとしては、
死体の解剖に要した費用などが該当します。こちらは、葬式とは関係がないので葬儀費用に含まれないとされています。
ただ、実務上では状況の判断により葬儀費用として控除できる場合もあります。
・会葬返礼品
香典は遺族が受け取るものであり、相続財産には含まないので香典返しのためにかかった
費用は葬儀費用として差し引くことはできません。
ただ、香典返しとは別に葬儀の参列者にお礼の品を渡す場合は、その費用を葬儀費用として差し引くことができます。
・繰上げ初七日
初七日とは亡くなった日から数えて7日目に行う法要のことなので本来その日に行います。
しかし、身内に遠方の方などがいると日を改めて再び集まるのは困難なため、
最近では葬儀と初七日をまとめて行うことが増えています。
このようなときは、葬式の前後に生じた出費と解釈して遺産総額から一括して差し引くことができるという考えもあります。
葬儀費用による控除は、相続税の負担を軽減するために効果的な方法です。
相続税がかかるか、かからないかぎりぎりの財産の場合には、
葬儀費用の控除により相続税の申告が不要になるケースもあります。
臨終から納骨まで、費用の負担が生じる場面が多々ありますので、
まずは領収書・レシートを保管しましょう。
領収書のでないものにつきましては、メモを残されておくとよいです。 ただし、相続税の控除対象となるか否かについては判断が難しいケースもありますので、税理士に相談するとよいでしょう。